「自筆証書遺言書保管制度」の概要を紹介します

「自筆証書遺言書保管制度」の概要が法務省より公開されております。自筆証書遺言は手軽で自由度は高いですが、遺言書が無効になったり、発見されなかったり、相続人等により改ざんされる等の恐れがあります。これらの問題点を解消する方策として、この制度が創設されました。

●本制度の利用における要点
  • 自筆証書遺言に係る遺言書を法務局(遺言書保管所)が預かります。
  • 保管の際は、法務局職員(遺言書保管官)が、民法が定める自筆証書遺言の方式について外形的な確認(全文、日付及び氏名が自書、押印の有無等)を行います。遺言書の内容についての相談は応じません。
  • 本制度の対象となる遺言書は、民法に法って作成された自筆証書遺言で、本制度において定められた様式に従って作成する必要があります。
  • 保管の申請は、遺言書本人が遺言書保管所に赴いて手続きする必要があります。
  • 手続きに当たり、遺言書及び申請書または各種請求書等は事前に作成し、遺言書保管所に予約をする必要があります。
  • 家庭裁判所の検認は不要です。
●保管を申請するための遺言書の様式

民法が定めたルールに従って遺言を自書し、なおかつ、自筆証書遺言書保管制度で定められた様式に従わなければなりません。自筆証書遺言書保管制度における様式の要点を示します。

  • 用紙はA4サイズで、文字の判読に支障がないよう、地紋、彩色などないものを使用し、ボールペン等の容易に消えない筆記用具を使います。
  • 用紙に決められたサイズで余白を設け、余白部分や裏面には何も記載しないでください。
  • 推定相続人には「相続させる」「遺贈する」と記載し、推定相続人以外には「遺贈する」と記載します。
  • 財産の特定には、遺言書に財産目録を添付する方法が確実としています。
  • 財産目録を添付するときは、遺言書本文と財産目録の各用紙に、通し番号でページ数を自書すします。
●遺言者の手続き、相続人等の手続き
  • 遺言者の手続きは、①遺言書を預ける「遺言書の保管の申請」②預けた遺言書を見る「遺言書の閲覧の請求」③預けた遺言書の返却を求める「遺言書の保管の申請を撤回」④変更事項を届け出る「住所等の変更の届出」
  • 相続人等の手続きは、①遺言書が預けられているかを確認する「遺言書保管事実証明書の交付の請求」②遺言書の内容の証明書を取得する「遺言書情報証明書の交付の請求」③遺言書を見る「遺言書の閲覧の請求」
●制度利用の手数料

遺言書の保管の申請は3,900円(1回につき)、遺言書保管事実証明書の交付の請求は800円(1通につき)、遺言書情報証明書の交付の請求は1,400円(1通につき)など、手数料が示されております。