「第二期成年後見制度利用促進基本計画」が令和4年3月25日に閣議決定されました
令和4年度から令和8年度までの5年間とする「第二期成年後見制度利用促進基本計画」が閣議決定されました。
■新たな基本計画の必要性
・第一期基本計画により、本人の意思決定支援や身上保護を重視した成年後見制度の運用が進みつつあり、また、各地域で相談窓口の整備や判断能力が不十分な人を適切に必要な支援につなげる地域連携のしくみが整備されつつある。
・他方、成年後見人、保佐人及び補助人が意思決定支援や身上保護を重視しない場合があり、利用者の不安や不満につながっているといった指摘や、成年後見制度や相談先等の周知が未だ十分でないなどの指摘がされている。
・また、地域連携ネットワークなどの体制整備は特に小規模の町村などで進んでいない。さらに、団塊の世代が後期高齢者となる令和7年を迎えて、認知症高齢者が増加するなど、成年後見制度の利用を含む権利擁護支援のニーズが更に多様化及び増大する見込みであり、こうした状況に適切に対応する必要がある。
・そこで、新たな基本計画を定め、更なる施策の推進を図ることとする。
■成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方
〇 地域共生社会の実現に向けて、権利擁護支援を推進する。
○ 成年後見制度の利用促進は、全国どの地域においても、制度の利用を必要とする人が、尊厳のある本人らしい生活を継続することができる体制を整備して、本人の地域社会への参加の実現を目指すものである。
〇 以下を基本として成年後見制度の運用改善等に取り組む。
・本人の自己決定権を尊重し、意思決定支援・身上保護も重視した制度の運用とすること。
・成年後見制度を利用することの本人にとっての必要性や、成年後見制度以外の権利擁護支援による対応の可能性も考慮された上で、適切に成年後見制度が利用されるよう、連携体制等を整備すること。
・成年後見制度以外の権利擁護支援策を総合的に充実すること。
・任意後見制度や補助・保佐類型が利用される取組を進めること。
・不正防止等の方策を推進すること。
○ 福祉と司法の連携強化により、必要な人が必要な時に、司法による権利擁護支援などを適切に受けられるようにしていく必要がある。
■今後の施策の目標等
〇 成年後見制度の見直しに向けた検討、市町村長申立て・成年後見制度利用支援事業の見直しに向けた検討、権利擁護支援策を充実する ための検討を行う。また、成年後見制度の運用改善等や、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりに積極的に取り組む。
○ 工程表やKPI(評価指標)を踏まえて施策に取り組む。成年後見制度利用促進専門家会議は令和6年度に中間検証を実施する。
■成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策
1 成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実
(1)成年後見制度等の見直しに向けた検討
(2)総合的な権利擁護支援策の充実
2 尊厳のある本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改善等
(1)本人の特性に応じた意思決定支援とその浸透
(2)適切な後見人等の選任・交代の推進等
(3)不正防止の徹底と利用しやすさの調和
(4)各種手続における後見業務の円滑化
3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
(1)権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方
・尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加
(2)地域連携ネットワークの機能
・個別支援と制度の運用・監督
(3)地域連携ネットワークの機能を強化するための取組
・中核機関のコーディネート機能の強化等を通じた連携・協力による地域づくり
(4)包括的・多層的な支援体制の構築
4 優先して取り組む事項
(1)任意後見制度の利用促進
(2)担い手の確保・育成等の推進
(3)市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進
(4)地方公共団体による行政計画等の策定
(5)都道府県の機能強化による地域連携ネットワークづくりの推進