成年後見制度利用促進計画の施策に関する中間検証が報告されました

3月17日、成年後見制度利用促進専門家会議において、中間検証報告書が取りまとめられました。成年後見制度の利用者がメリットを実感できるように、意思決定支援や身上保護を重視した施策の方向性が示されております。主な点をまとめます。

1.「後見人等向け意思決定支援ガイドライン」を早期に策定し、後見人や、市区町村、中核機関等の関係職員に対して、普及・啓発をすすめていく。

2.適切な後見人等の選任・交代を推進するために、中核機関や権利擁護センターなどは、適切な後見人等の候補者を家庭裁判所に推薦する体制や、後見人等を専門的に支援する体制の整備を推進する必要がある。

3.報酬の算定に当たっては、身上保護や意思決定支援等を重視した運用とする観点や、後見の担い手を確保する観点も踏まえ、身上保護事務についても適切に評価し、後見人が実際に行った事務内容や負担等に見合う報酬とする。

4.診断書等の在り方については、本人情報シートをできるだけ多くの事案で活用し、活用を推進するために関係機関等に周知を図っていく。

5.中核機関等の整備は、十分に進んでいない。地域連携ネットワークのさらなる構築に向け、家庭裁判所や既存の社会資源、これまで役割を果たしてきた関係団体・関係者が、緊密な連携を図ることが重要である。

6.市民後見人の活用の推進に向けて、自治体と家庭裁判所が連携し、育成のカリキュラム、支援体制の在り方、市民後見人の選任に適した事案のイメージ等について、情報共有を図ることが重要である。

7.法人後見については、後見人等の担い手確保という観点のほか、比較的長期間にわたる利用が想定される障害者や、困難な課題を抱えるケースへの対応などの観点から、推進していくことが望ましい。

8.後見制度支援預貯金は、不正防止に有用であり、親族後見人の適切な選任にも資することから、金融機関においてさらに導入を進めることが期待される。

9.任意後見制度の趣旨に沿った、適切な運用の確保をするための方策について検討すべきである。

10.令和元年6月、成年被後見人等の権利制限の措置(欠格条項)の撤廃を盛り込んだ法律が成立。12月「会社法の一部を改正する法律」等が成立し、190の法律における欠格条項の撤廃等に関する法制上の措置が講じられた。